※できれば本編読了後にご覧ください。
※本編のノリで読むと、急カーブで振り落とされる可能性があります。
※本編の前に読むと、本編にあらぬ期待を抱いてしまうおそれがあります。(そしてその期待はおそらく裏切られます)
※本編とはまったくべつのベクトルでなんでも許せるひと向けです。
特別対談
レオナルド・ライト・ジュニア
& レオナルド・ライト
レオナルド・ライト・ジュニアの電撃的デビューから10周年。ファンからの根強い希望に応え、彼の父親にしてレジェンドヒーローであるレオナルド・ライトとの対談を掲載いたします。
――ジュニアくんはヒーローになって10周年ですが、この節目に思うことはありますか?
ジュニア「とくにだな。別に今年チーム替えがあるわけでもないし、いつも通りって感じ」
レオナルド「お、つまんないこと言うようになったな」
ジュニア「ふぁーっ……と、これはインタビューで言っちゃだめなやつだ! 大人! 大人になったなって言え!」
レオナルド「(笑)」
ジュニア「笑うんじゃねー! ……ああでも、『ヒーロー』9周年のときはちょっと感慨深かったかもな。会ったときのキースと同じキャリアなんだって」
――最初のメンターであるキース・マックス(※10期『ヒーロー』)ですね。
ジュニア「そうそう。おれのメンターだったのはキースとディノ(※10期『ヒーロー』ディノ・アルバーニ)だけど、入りたてのときに世話になった……世話してやった? のはキースだった」
レオナルド「ああ、あのかっこいいやつか」
ジュニア「かっこいい!? キースのどこが!?」
レオナルド「髪型とか?」
ジュニア「いやもっとほかにあるだろ、あいつのかっこいいところ!」
――たしかにキースはかっこいいですよね。
ジュニア「そうは言ってねえ。 ……ただ、おれがいま、武器なしでもある程度安定して戦えるのはあいつのおかげだし、感謝はしてる」
――メンターによる指導の賜物ということですね。ルーキー研修という制度は、いまから20年近く前、レオナルドさんが制度化を提唱したものです。
レオナルド「当時はイクリプスが表に出だしたばっかりで悲惨な状況だったからな。『個』としての強さから、『集団』としての強さに、エリオス全体を切り替えてく必要があった」
ジュニア「『俺というスーパーヒーローがいなくなってしまったぶんを、別のなにかで埋めないと』とかも思ってたんだろ、どーせ」
レオナルド「痛いところを突かれた(笑) でもまあ、結局そこが肝なんだよな」
――というと?
レオナルド「俺たちの世代の『ヒーロー』ってのは、根本的なところでひとりだったんだ。仲が悪かったとかじゃないぞ? ただ、身体に染みついてる強さのかたちってやつが、『ひとりで全部やらないと』なんだよ。サブスタンスを相手取るときも、災害を食い止めようとするときもそう。でも、10期以降のやつらは、違う」
ジュニア「……」
レオナルド「ほら、黙ってないで語れよ、現役『ヒーロー』」
ジュニア「なんだよその振り! ……えーと……こういう言いかたすると、責任逃れだとか、他人任せだとか思われそうなんだけど、おれで終わりじゃない、って感覚はあるな、ずっと」
――ジュニアくんで終わりではない。
ジュニア「おれがもし、途中で死んじまっても、役割を引き継いでくれる誰かがいる、そいつらにだったらこの気持ちを託せる。そういう感じ。ま、最初から分かってたわけじゃねーんだけどな。あんたなら知ってるだろ。入所してすぐのときからインタビューしてるんだから(※ ライターは10年前、13期のインタビュー連載を担当していた)」
――当時から、ジュニアくんはかっこいい『ヒーロー』でしたよ。
ジュニア「そーいうことじゃなくて!」
レオナルド「『かっこいい』だぞ。ありがたーくもらっとけよ」
ジュニア「そうかもしれないけど……いまの流れで認めるのはなんかだめだろ!」
――視点が変わるきっかけがあったんですか?
ジュニア「……分かってて聞いてるだろ」
――すいません、なんどでもお聞きしたくて。
ジュニア「謝らなくていーけどさ……誰とは言わねーけど、当時のチームメイト」
レオナルド「おう、おまえのかっこいい旦那(※13期『ヒーロー』フェイス・ビームス。先日ジュニアとの婚約が発表された)か」
ジュニア「かっこよくはねーよ。 ……かっこ悪くも、ないけど」
――ルーキーのときの相棒であるフェイスくんとのタッグは、まさにチームワークを象徴するものでした。
ジュニア「全然仲はよくなかったけどな」
レオナルド「こら、インタビュアーさんが反応に困ってるぞ」
ジュニア「違う、これは笑うのをこらえてる顔だ」
――いつも仲良しで、ほほえましくって(笑)
ジュニア「だー! この話は終わり! せっかく親父が来てるんだから『ヒーロー』の話しろよ!」
レオナルド「せっかく親父が来てるんだから」
ジュニア「そこ拾うな!」
――レオナルドさんが残念そうですが、軌道修正しますね。おふたりはどちらも素晴らしい『ヒーロー』ですが、『ヒーロー』としてのこころの在りかた、強さのかたちが異なっていると。
レオナルド「ああ。レオの成長っぷりを見るたびに、ルーキー研修を作ったのは間違いじゃなかったって確信したよ」
ジュニア「……そんなこと考えてたのかよ。いいから結果出せって顔してたくせに」
レオナルド「そんな顔してたか?」
ジュニア「してただろ」
レオナルド「とまあ、案外伝わってないもんなんだが(笑)」
――レオナルドさんの時代とは違い、いまは、ひと握りの『スーパーヒーロー』が支える組織ではなくなりました。
レオナルド「いい変化だと思うぞ。いまのやつらはほんとうに、みんな強い。誰かだけが突出してるわけじゃなくて、みんなそれぞれの強みがある。個の力を組み合わせて、より強い力を生み出してるのがいまの『ヒーロー』だ。俺やこいつのサブスタンス能力は、最悪ひとりでも戦えちまう代物だし、俺はそうやってたんだけど」
ジュニア「ひとりで戦うより、誰かと力を合わせたほうがもっと強いだろ?」
レオナルド「って、息子に呆れられるわけだ」
ジュニア「呆れてはいねーよ。親父の強さだって、強さだよ」
――武器を持たないときのジュニアくんの戦闘スタイルは、父親そっくりと言われますね。
ジュニア「雷を操る能力の持ち主で、おれの知るなかで誰よりも強いのは親父だったからな。参考にしてやっただけだ」
レオナルド「雷を操る『ヒーロー』なんて、俺とおまえしかいないだろ」
ジュニア「……それでも、誰よりも強いってのは嘘じゃねーだろ」
レオナルド「ま、そう言われるのは悪くないな。俺からすれば、こいつらの強さがかっこよく思えるし、俺もチームワークってやつを叩きこまれてたら、もっと違う選択をしたかもって思うんだが」
――選択、ですか。
レオナルド「こいつがちびっこだった頃……、ああ、身長じゃなくて、赤ん坊だったときって意味な?」
ジュニア「クソDJみてえなこと言うな!」
レオナルド「悪い悪い(笑) そのころの俺は、自分の跡継ぎがいないと、って強迫観念があった。俺がやらなければいけない、でも、俺はそのうち引退する。そのあとも、この街を守る跡継ぎがほしかった……そういう、かっこ悪い視野に囚われてた。あんまりいい父親じゃなかったかもな」
ジュニア「……ノーコメント」
レオナルド「こいつが黙るんだぞ? 相当だろ」
――託せる相手がほしかったんですね。
レオナルド「レオの世代が仲間に託すものを、俺は子どもに託さないと、って思ってたところはある。当時の俺だったら、こいつと旦那の結婚なんて認めなかったんじゃないかな」
ジュニア「まだ結婚はしてねえし旦那でもねえよ!」
レオナルド「まだ」
ジュニア「だからそこ拾うなよ! ほんと好きだな、この話題!?」
――ジュニアくんがフェイスくんとおそろいの婚約指輪を付けていた写真は、たいへん話題になりましたね。わたしの後輩に13期ウエストのファンがいるのですが、号泣しながらご祝儀ピザ券を用意していました。
ジュニア「ピザ券!?」
レオナルド「潔くてかっこいい見せつけっぷりだよな」
ジュニア「……まあ、あいつがよーやく腹くくったわけだし、そこは評価する」
――ディノも大号泣だったという噂ですが。
ジュニア「ディノは……まあ……」
――ちなみにわたしも大号泣でした。じつを言うと、いまも泣きそうです。
ジュニア「いや、泣くなよ……」
レオナルド「こんなに祝福されて、幸せもんだな」
ジュニア「そりゃそうだけど……いやなんだよこれ、恥ずかしすぎだろ!? おれの入所10周年の対談だったんじゃないのか!?」
レオナルド「10周年に合わせて婚約公表したんだから、当然だろ」
ジュニア「当然じゃねーだろ、まじめに話せよ、レジェンドヒーロー」
――とのことですが。
レオナルド「まじめに、ねえ……レオが『ヒーロー』としての相棒と、人生のパートナーになるって言ってきたときはさすがに驚いたけど。ああ、エリオスっていう場で過ごす時間で、そうなりたいぐらい大好きなやつができたんだって思ったら、黎明期に死に物狂いで戦ってた人間としては、報われたって思ったよ」
ジュニア「とか言ってるけど、報告して第一声が『え、あのかっこいい顔のやつがおまえを!?』だからな」
――フェイスくんの顔は、世界遺産と言われていますからね。
ジュニア「そういう問題じゃねーし! なんなんだよ、見てくればっかり見やがって」
レオナルド「しっかり中身も見ろってさ」
――レオナルドさんから見て、フェイスくんはどんな『ヒーロー』ですか?
レオナルド「仕事の関係で兄貴のブラッド(※10期『ヒーロー』ブラッド・ビームス)とは知り合いだったから、最初はその弟って印象だったな。戦いかたはブラッドとはだいぶ違って、オーケストラの指揮者みたいだなって思ったことがある。うちの息子みたいなのをよくコントロールしてたよな」
ジュニア「どーいう意味だ。そもそもおれはコントロールなんかされてねえ!」
レオナルド「レオとはほんとうに正反対なタイプってイメージ。逆に相性がいいってのも分かるな」
ジュニア「どこがだよ。同じチームじゃなかったらぜってー関わってなかったぞ、あんなやつ」
――つまり、エリオスという場が……レオナルドさんが提唱したルーキー研修が繋いだご縁ということですね。
ジュニア「いや、そういうことじゃ……まあ、そうなる……のか?」
レオナルド「ふうん?」
ジュニア「にやにやすんじゃねえ。……そーいや、インタビュアーさんだって、ルーキー研修のおかげでいまがあるひとだよな」
レオナルド「ん? どういう意味だ?」
ジュニア「このひと、元10期『ヒーロー』なんだよ」
――2か月だけですが。ルーキー研修がなかったら、広報に転属せずに退所していたかもしれません。
ジュニア「……チームメイトがいたからこそ、なんだよな」
――はい。わたしが、ひとりではなかったからです。辿っていくと、レオナルドさんのおかげですね。
レオナルド「あー……べつに俺だけの功績ってわけじゃないけど……って、そんなことは広報担当なら知ってるか。それはそれとして、いい話を聞けたよ」
――こちらこそ、聞いてくださってありがとうございます。この流れですいません、時間が押してきました。最後に一言、ありますか?
レオナルド「婚約おめでとう、レオ」
ジュニア「締めがそれかよ!?」
レオナルド「じゃあ、10周年おめでとう、レオ。跡継ぎがどうとか言ったけど、おまえが『ヒーロー』になったの、ひとりの父親として、単純にうれしかったよ」
ジュニア「はあ!? なんだよとつぜん……びっくりするだろーが」
レオナルド「こら、そういうときはまず、なんて言うんだ? ちびのときからなんども教えたはずだぞ?」
ジュニア「くそ……これまでずっと、ありがとう!!!!!!!(本日いちばんの大声)」
・ジュニアくんの『!』……どの声量から付けるかいつも悩みます……。
・わたしの口調そのままだとディノとキースには敬称がついていませんが、統一するべきでしょうか?
・家族関係の話に関してはおふたりによく確認。(ほかのご家族にもチェックをお願いしたいです)
・後輩→知人に修正するべき?
・わたしの来歴に関する部分はカットしたほうがいいのでは?
・婚約関係に関しては、掲載Okであることをインタビュー直後に確認済みです(とても照れていました)
ジュニアくんからコメント:
・家族関係については、お兄さまとお母さまとフェイスくん(家族、ですね)にもよく確認するとのこと。
・わたしの発言はわたしの言葉にしておいてほしいとのこと。