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※できれば本編読了後にご覧ください。

「レッテルのむこうで彼らは」、最後まで読んでくださったかた、ありがとうございました。最後までは読めていないけれど途中まで、というかたや、ご興味を持って手に取ってくださったというかたもありがとうございます。

そして、すばらしいイラストとデザインをご提供してくださったぐうさんとMOBYさんに、改めて感謝申し上げます。なお、書籍内に具体的に書くことができなかったのですが、MOBYさまには今回、カバー(二枚とも)、扉ページ、奥付ページのデザインをお願いいたしました。

それでは、以下、内容に関わる話をたくさんしてしまうので、苦手というかたは避けていただけると幸いです。

 

『光学』

なぜこのお話から触れたかというと、いちばん最初に書いた短編だからです。ひとつめということで、よく書いているモチーフかつ、シンプルな構成のお話にしました。(『彼方から届き続ける、もう存在しない星の光』という題材がとても好きで、筆力が追い付かないながら、チャレンジしてしまいます)

ただし、既婚者でお子さまのいる壮年の男性の感情や視座、とくに倫理観の面をきちんと描ける自信がなく、別ジャンルの友人に下読みをお願いし、いろいろとアドバイスを頂き、修正を入れました。ほんとうにお世話になりました。

めちゃくちゃ余談なのですがたぶんこのおうちはベビーシッターさん・家事お手伝いさんのいるタイプのおうちです。

なお、こちらのお話は早い時期に書いたので、原作の2部3章がきたときに、一部修正を加えました。おもに「かっこいい」関係です。

また、これは余談なのですが、いなくなっても続くもの、そう信じられるもの、というテーマが大好きなので、2部3章の帰着点がとてつもなくつぼで……つぼで……つぼです……好き……。

『オフ・ザ・レコード』

去年のロックアウト(&直前のビーズログ)のときから、ジュニアくんとインタビューの話を書きたいなと思っていました。ただし、私にインタビューの知識がなく、調べ物をしないと書けないな……と思いながら一年が経ちました。本にするにあたりようやく調べ物をしたかたちです。

ウェディングイベント中に書いていたお話です。フェイスくんがジュニアくんにまっさらなこころを見せてくれたのがとても感慨深くて、萌え狂いながら書きました。

エリオスのシナリオの、『他人と他人が、言葉という完璧ではない道具で、手探りでコミュニケーションを取っている』と感じられる、丁寧な描写が大好きです。バレンタインでフェイスくんが、ロックアウトでジュニアくんが言葉というものと向き合って、そこからウェディング・2部3章につながっていくと思うと、エリオス原作さんの物語の織りかたがとても好きだなあと思います。

『残響は旅へ』

ナイトプールの時期のフェイスくんって、心のなかでいろんなことが起きているんだと思うんですけど、周囲のモブさんはそのことを知らなくて、知らないけれど、応援してくれるのかなあと思いながら書きました。

それから、1部2章でフェイスくんがいかついお兄さんから好かれてたのがとても印象的で、『ヒーロー』としてのこころをさらけ出せるかはともかく、決して狭い世界で生きている子ではないのだろうなあと思いながら書きました。

というのを前提に、元ネタ関係の話をします。

あとがきを書かねば、と思った理由の八割はこのお話です。​

このお話の軸になっている『展覧会の十枚』は、きっとみなさんご存じであろう、『展覧会の絵』です。エリオス原作のお作法(オアシス→ジーニアスなど)として、元ネタそのままのタイトルは出さないほうがいいのだろうか、と考えて、曲名を改変しています。

ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)「組曲 ≪展覧会の絵≫ ほか」

ズービン・メータ(指揮)、ニューヨークフィル演奏、1979年録音

CBS-SONY 25AC842

作中に出てきた「虹のようなデザインのレコード」という描写は、こちらのレコードをイメージして書きました。

視点人物のバンド名を「クラック・オブ・ゴールド」にしようと思っていたこともあり、こちらを選びました。

​作中でふれている逸話は、史実通りです。

恥ずかしながら音楽には疎く、今年がラヴェル編曲版の初演から100周年であることや、それを祝して多数のコンサートが行われていることは、あとから知りました。なので、2022年にこのお話を書いたのはまったくの偶然なのですが、フェイスくんのおかげでタイミングのいい勉強をさせていただいたなと思いました。せっかくですので、コンサートで聞いてみたいです。

そして、ボウイング奏法のポスト・ロックという時点で趣味の近いかたはお気づきとは思いますが、アイスランドのバンド『シガー・ロス』の影響も受けています。モデルにしているかと言われると、さまざまな意味で齟齬があるのですが……。

また、このお話に出てくる鳥のモチーフは、シガー・ロスの名盤「Takk...」の裏側のイラストから影響を受けていると思います。書いている間は自覚がなかったのですが、ひさびさに物理CDを取り出して、もしかしたらと思いました。

北国のイメージもシガー・ロスからなのですが、南東アラスカを出したきっかけは去年読んだ、星野 道夫 先生の「森と氷河と鯨―ワタリガラスの伝説を求めて」ではないかと思っています。

また、イメージソングかと言われるといろいろと齟齬がある(歌詞全体の流れに添っていない)のですが、BUMP OF CHIKEN「66号線」の影響も受けています。大好きな曲です。

長々とすいません。インスパイア元が多く、せっかくですので紹介したく思い、たくさん話してしまいました。どれも有名な曲・バンドなので、みなさまご存じかとも思うのですが、もしお聞きになったことがないというかたがいらっしゃったら、拙作のことはいったん宇宙の彼方に投げて、ニュートラルなお気持ちでお聞きになってくださると幸いです。大好きなかたがたなので……なにとぞ……。

余談ですが、下読みした知人から「この本でもっとも恋愛小説やってる」と言われて、深く反省しました。

『ハイライト・ゲイザー』

 

残響がかなりウェットだったので、さくさく読める文体にしようと思って書きました。冒頭の「地獄」がオタクの語彙、という話は、とあるかたのツイートの影響を受けています。(そのかたの許可はいただいています)

書籍タイトルになっている「レッテル」について、いちばん触れたのはこのお話かなと思います。

この本の作業中、「二次創作として、矛盾したタイトルをつけちゃったな……」と幾度も思いました。

自分はオタクとして、好きなキャラにかなりのレッテルを貼るほうだと思いますし、あなたはこういうひと、と決めつけがちだなと思っています。

そういうオタクが書く二次創作に、こんなタイトルをつけるのはなんだか……どうなんだろう……でもこのタイトルで本を出したいと思ってしまったから……という……葛藤の牛……。

​という私自身の話はさておき、『オフ・ザ・レコード』の彼女なら、こういう捉えかた・言語化をするのではないかなと、二次創作的な視点で考えながら書きました。

パフェのくだりを書いているときは、正直「私は推しカプの本で知らん百合(広義)のデート(広義)を書いてる? なんで?」となりました。おまえが決めたんだよ!!!

『オン・ザ・レコード』

ひとつめに『光学』を書いたときから、最後のモブはこのひとにしようと思っていました。

なお、『光学』の初稿で年齢計算をあまりせずに書いたところ、言動と経歴に違和感があるとのアドバイスをいただき、諸々考えたうえで飛び級設定になりました。友人のアドバイスのおかげです。

 

『レッテルのむこうで彼らは』

2部3章で、「それぞれが、それぞれのものさしで話をする」ことや、「それを完璧に避けようとしたらなにもしゃべれなくなってしまう」ことが描かれていて、エリオス……好きだなあ……と思いました。エリオスの人間描写が好きです。

以上となります。

​重ね重ねになりますが、このたびは拙作にご貴重なお時間を割いていただきありがとうございます。自カプのプチオンリーに張り切りまくった結果自カプの登場比率がひどい本を出す本末転倒っぷりをやらかしていて、申し訳ない思いでいっぱいです。

と同時に、とても一生懸命……ここ数年のなかで、もっとも死に物狂いで書いた小説です。読んでもらえて、とってもうれしいです。ありがとうございました。

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